孤立しやすい育児と介護
- kumiko nemoto
- 9月10日
- 読了時間: 4分
更新日:10月5日
私はシングルマザーとして三人の息子を育てながら、要介護5の母の在宅介護を行ってきました。
私がここに至るまでの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
その過程で私自身大切にしてきたことは、「自分の心を大切にすること」
一番身近で、一番大切にしなければいけないのは自分自身です。
私自身が子ども時代、家庭や学校に居場所がなく、自己肯定感を持てずに育ちました。両親の夫婦喧嘩、父が母への暴力が激しく、いつも怯えていました。
父の借金、蒸発、貧困。学校でもいじめに遭い、守ってくれる大人は誰一人いませんでした。ヤングケアラーとしてアルコール依存症の母を支え、子どもらしさを置き去りにして大人の世界に放り込まれていました。
「私はいない方がいい」「私は邪魔なんだ」──そう感じながら生きてきた私が、なぜ今こうして自己肯定感を維持することができたのか。
それは、数えきれない苦しみや涙の中でも、「自分を信じる力」と「自分なりの幸せ」を育て続けてきたからです。
今、日本で起きていること
いま、日本では、子どもや若者が自ら命を絶つという悲しい現実があります。2024年、小中高生の自殺者数は529人にのぼり、過去最多となりました。15〜19歳の死因の約半数が自殺
──これはG7諸国で唯一、日本だけの現象です。
居場所のない家庭、学校、SNSにあふれる言葉の暴力、そして将来への不安。子どもたちが生きづらさを抱え、夢や希望を見失ってしまう社会。
この現実に、私たち大人が
正面から向き合い、何が大切であるかを問い直さなければなりません。
「私たちはどんな未来を子どもたちに手渡していくのか」

⇑ 中学校の元校長先生から「学校にもこのポスターが貼ってあります」と3月にご連絡をいただきました。
子どもたちが生きづらさを抱え、夢や希望を見失ってしまう社会は、
個人だけでなく社会全体に深刻な「社会的損失(ソーシャルロス)」を引き起こします。
例えば、私自身の経験である
ヤングケアラーの環境に対しても
① 教育機会の喪失
(学校を休みがち・遅刻・早退・学力低下、進学断念・教育格差・就職の選択肢が奪われる)
② 経済的自立の困難
(学歴や職歴のハンデ・時間的制限があり非正規雇用となりやすい・社会に出るタイミング取れず経済的に不安定、生活困窮に陥る➡8050問題・孤立無業に陥りやすい)
③ メンタルヘルスの悪化
(精神的負担 の増大で介護うつ・虐待の増加・殺人・精神や不安障害・自傷行為
引きこもり・ 人とのつながりや信頼感を持てず孤独に陥りやすい)
④ 社会的孤立・排除
(家庭外の人間関係が築きにくくなり、「助けを求める力」が育たない➡社会から「見えない存在」として置き去りにされる)
⑤ 世代間連鎖(ケアの連鎖)
( ヤングケアラーが大人になっても「ケア責任」が続き、子どもにも連鎖・同じ問題を引き継いでしまう)
⑥ 人材の損失・地域の弱体化
(本来社会に貢献できるはずの若者が、支援を受けられず力を発揮できない・地域に「疲弊した家庭」が増え、支援コストも膨らむ)
これらの社会的損失が生まれてしまう可能性があるのです。
そして、私は介護支援専門員として、「今日が最期の日かもしれない」高齢者の方々と向き合い、自宅でも寝たきりの母を在宅介護していく中で、体に痛みを抱え、病気と闘いながらも、「今日も生きている」ことを大切にし、最期の瞬間まで人生を歩み続ける姿を目の当たりにしてきました。
その一方で、体は元気なのに心が疲れ果て、生きる希望を失ってしまう若者が増えている現実に心を痛めており、子どもたちが未来に希望を描ける社会にしたい、と強く感じています。
私が伝えたいのは、「あなたはそのままで尊い存在だよ」ということです。
大切なものは、まず自分の心を大切にすること。
自分を大切にできたとき、心は少しずつやわらぎ、誰かの温かさを受け取れるようになります。
そして、その温もりを感じられた瞬間に、未来へつながる小さな光が見えてくるのだと思っています。





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